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「音楽は、自由な野の鳥」中村天平 2010年初コンサート(中編) [コンサートやライヴで感じたこと]

…「(続く)」と書いてから、何となく書き続ける気がせずに、もう5日も経ってしまった。
これから続きを書いてみようと思います。

その前に、コンサートやライヴで感じたことを書いているのだから、どんな様子だったのかを、
まとめておきたいです。

まず、中村天平さんご自身のブログから。どんな意図があったのかを知ることができます。
それから、聴き手の反応。それは「湧玉」さんから窺い知ることができます。mixiにも感想が
あり、弾き手と聴き手双方の感じたことのほとんどが、もう書かれており、僕が、新たに付け
加える必要もないか…と思います。

ですから僕は、ちょっと違うことを書きましょう。

先日、天平さんとお昼一緒に食べていたとき、ピアノ協奏曲が話題に出てきたのです。

…と続きを書き始めて、何と1か月以上経過してしまった。

その間、天平さんは、

NHK『みんな、二十歳(ハタチ)だった』に出演した。
フジテレビ『僕らの音楽』に出演して、倖田來未さんと共演をした。

この辺りは、ご本人のブログを見ていれば、細かに書かれているので、今さら何も書くことも
ないように思う。

それよりも、この間起きたこと。それは、やはり、思い出すのは、阪神淡路大震災…だ。
もう15年前になるのだな…。

僕は、大阪出身。あのときは、地面がうねるような、今まで体験したこともない地震だった。
だが、実家の屋根瓦が、数枚ずれただけで被災は何も受けていない。本当に有り難いことだ。

その後、余りの惨状に…今この文章を書いていても涙が出る…本当に僅かなことしかできぬが、
ボランティアとしてお手伝いに行かせて頂いた。

最初に行かせて頂いたのは西宮北口。井上さんというおじいさんとおばあさんのお宅だった。
水が出ないからと、片道30分くらい歩いて給水車のいる小学校まで汲みに行った。キャリー
カートに
ポリタンク2つをくくりつけて帰ってきた。

歩く間…

45度に傾いてしまって、たった一本の柱で、崩壊を防いでいる家。
火災後の一面の黒いすす。

西宮北口は、それでも比較的、被災が少なかった地域だった。

井上さんは「指揮者の朝比奈隆さんとは仲が良かった。隣組だった」というお話をされた。
水の出ない仮住まいには、
ヴァイオリンがおいてあった。

井上さんは、お元気にされてらっしゃるでしょうか?

数日後、被災のひどい地域にも、電車が動くようになってから、お手伝いに行かせて頂いた。

崩れそうなお宅の2階部分にもぐりこみ、僅かばかりの家財道具を、何とか取り出して…。
あのときのおばあさんの顔を、今でも覚えている。僕たちの行為に「有難う」と言ってくれた
気がする。しかし、とても悲しみに満ちた目と顔だった。

そう、何もかも奪い去ったのだ。あの地震は。

天平さんが出演したNHKの番組を見ていて、あの時のことを思い出した。

屋根が落ち、柱の折れ曲がった、崩れた家。天平さんの実家の写真がテレビ画面にあった。
瓦礫の中にピアノが何とか立ちはだかっている。幸いご家族は、皆さんご無事で有り難いこと
であるが、あのおばあさんの深い悲しみに満ちた目と顔。逝った者と同じく、残された者にも、
大きな試練を残した。そう、この男(天平さん)は、あのときを経験しているのだ。





あの演奏が良い。
この演奏の方が良い。うまい…いや、下手だ…。…とか。

どうも、こういう軸で音楽が、急にきけなくなってしまった。

何というか…あの店はうまい。この店はまずい。といっているのと、変わらない気がする。
たった一杯の温かい飲み物がどれほど貴重か。たった一つの音がどれほど貴重か。

天平さんの音楽は、生命の飛翔を感じる。
ラフマニノフやショパンやベートーヴェンは、「生命の飛翔」そのものではないか?

今の演奏家に、「生命の飛翔」がないとはいわない。
だが、圧倒的に不足していることがあるように僕は感じる。それは演奏できることへの感謝。
そして、きいてくれることへの感謝。

いや…それは、僕も含めて、音楽をきく側も同じではないか? と、感じる。




「音楽は、自由な野の鳥」結び編は、また、気の向いたときに書かさせて頂きます。

【御礼とお詫び】

nice!やコメントを寄せてくださった皆さま、そして、ご訪問くださった皆さま、御礼を
申し上げます。有難うございます。そして、返信やご訪問がままならず、ごめんなさい。


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コメント 4

ピカ

お久しぶりですm(__)m

>たった一杯の温かい飲み物がどれほど貴重か。たった一つの音がどれほど貴重か。

>音楽をきく側も同じではないか? と、感じる。

私もその一人です。
音楽をきくだけでなく、「もの」「ひと」をみることにおいて
内面や本質をしっかり感じ取り見極める「ちから」を持たないと、思います。
残念ながら、私にはそれがありません。
私自身にもその要素もないので、これは恥ずべき最大の欠点です。

簡単に言ってしまうと、素直じゃないんですね(笑)

「すなお」に芸術鑑賞を楽しむ気持ち、大切ですね。
by ピカ (2010-02-24 11:50) 

ヒデキヨ

ピカさん こんばんは コメント有難うございます

>内面や本質をしっかり感じ取り見極める「ちから」を持たないと、思います。

ピカさんは 「ちから」は ありますよ 充分に…

>簡単に言ってしまうと、素直じゃないんですね(笑)

ご自分で 「素直じゃぁない」と いわれる方は 
素直にご自分を 見極めているという点で 「素直」かな…と 笑

大切なのは「尊い」「貴い」…がわかっていれば良いと 
僕は思います
by ヒデキヨ (2010-02-24 20:49) 

ひとみ

ヒデキヨさん、こんばんは。

お忙しいところ、更新ありがとうございます。

天平さんの存在の力強さに憧れるし、大好きです。

偶然、今晩は神戸にいます。
あの日に思いを馳せつつ、そろそろ眠ります。




by ひとみ (2010-02-25 00:46) 

音楽っ子

ヒデキヨさん、こんばんは。

阪神淡路大震災の日の事は、今でも忘れられません。私も夜中に振動で目が覚めて…。3年前に神戸のルミナリエを訪れました…。「生きていること」「音楽があること」に感謝なんですよね。

ヒデキヨさんには、今までと変わらずいろいろな経験を通して、音楽との出合いで感じられた事を綴っていただきたいです!
by 音楽っ子 (2010-02-27 23:05) 

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