21世紀のスタンダードがこの日から始まる [ご挨拶・ご案内]
「21世紀のスタンダードがこの日から始まる」と、タイトルをつけたコンサートをさせて頂きます。
出演されるのは、尺八の中村 仁樹さん、琵琶の塩高 和之さん、ピアノの菊池 智恵子さんです。
12月28日(月)19:00から。場所は、渋谷のタカギクラヴィアさんの松濤サロン。お一人様2,800円です。
お申し込みは、メイフィールド企画さんへどうぞ。
e-mailの場合ですと、misatomayfield2006★yahoo.co.jp (★を@にして送信ください)へお願いします。
*件名に「2008年12月28日(月)申し込み」とされた上で、お名前、ご連絡先、希望人数などをご明記ください。
お電話ですと、048-951-8056(いしださん)048-951-8539(おおしまさん)にお願いします。
*12月7日(月)以降からお電話での受付が可能です。
*また、お電話は、なるべく10時~20時くらいの間でお願いします。
メイフィールド企画さんは、今回ご好意でお手伝いくださいますので、対応される方が不在の場合もあります。
その際は、大変恐れ入りますが、メッセージなどを留守番電話に残してくださると有り難いです。
お申し込みは、2009年12月26日(土)20時までにお願いします。
Classical Music Cafeへようこそ!
中村 仁樹さんの「尺八リサイタル」からもう4ヶ月が経ちました。
尺八とピアノの組み合わせの面白さを手短に書けば、「違う音程感による新たな音楽の可能性の広がり」でしょうか。
細かいことは、ご興味あれば当日のリサイタルの模様を書いた拙文をお読みくださるとして、もう少し説明をすれば、
「音程が合えば合うほど美しいとする(共鳴する)「西洋音楽」の発想とは、根幹から異なった音楽が目の前にあった」…
のです。ラ音(a)は、おおよそ435~445Hz(国際基準は440Hzです)ですが、1Hzの差は、同時に鳴らせば唸りで
すぐに「わかります」。きっとピアノと一緒に演奏している尺八の音程は、厳密には「合っていない」のです。なぜならば、
尺八は、竹を切っただけの楽器ですし、穴の位置を変えることができませんから…。
ただ、面白いことに「合う」「合わない」という機軸で聴くことを、尺八(和楽器)はやんわり拒否してくれるのです。これは
なぜでしょう? 「首振り三年」といわれるあの独特なヴィヴラートで、音程を「包み込んでいる」とも思えますし、和楽器
に対して本能的に独特な聴き方に・・・日本人であるが故に「そんなものだろうと」と勝手に脳みそが「翻訳」しつつ・・・
聴いている可能性もありそうです。というのも、あるオーディオ製品を聴く集まりがあったときのことです。ヴァイオリン、
ピアノ、オルガン、波の音などと並んで「ジブリの音楽を和楽器で演奏した」音源を聴いたのですが、音が割れている
ように聴こえた尺八に、これは具合が悪いなあ…と内心感じていたのですが、一緒にいた60歳代の女性客数人は、
「ジブリ和楽器音源」のときだけ「わあ、すごく良いわね~これ!」と、満面の笑みを浮かべ反応をしていたのです。
和楽器には、何か「包み込んでしまう」あるいは「極度の曖昧状態? になる」要素が、多分にあるのかもしれません。
ところで、今回からは「尺八とピアノ」という組み合わせに琵琶が加わります。
中村さんやメンバーと精一杯考えて悩んだ末の「結論」が、琵琶(塩高 和之さん)にご参加頂くことでした。
ちょっと考えただけでも、ウッドベース、ヴァイオリン、ドラム、マリンバ、チェロ、ハープ、フルート、クラリネット、箏・・・
との組み合わせがあり得ます。尺八+ピアノという編成に、これらの楽器を加える場合、それぞれにメリットやリスクも
ありますが、僕はなぜか「ピン」と来なかったのです。
琵琶が面白そうだなと感じたのは、この楽器が考え方によっては「和楽器の王様」だ…ということを知ったからです。
特に樂琵琶は、
「近世以前でしたら、樂琵琶がなんと言っても王様でしょう。
なにせ天皇かそれに近い人しか触れなかったような楽器ですので・・・」
と教えてくれたのは塩高さんでした。
つまり、
西洋楽器の王様ピアノと、
和楽器の王様琵琶との「2つの楽器の王様」と、
尺八の王子様による「和と洋」が「同居」したユニット。
なのです。
ピアノは、フェルトのハンマーで弦を叩くことで音を出しますから、弦楽器と打楽器の双方を兼ね備えた楽器です。
一方琵琶は、弦を擦(こす)ることもできますし、指ではじくこと(「撥弦」)もできる楽器で、その上、「音程」が独特です。
これに、息の要素の入った管楽器である尺八が加わることで、弦・打・管の3種類が、極小の単位で揃います。
ピアノの菊池 智恵子さんは、ボストン・ニューイングランド音楽院修士課程修了で、2005年5月に演奏優秀賞と併せて
ディプロマ取得している方です(つまり、指揮者・金聖響さんの「後輩」となるわけです)。
「音楽を良く聴かれて、その反応を即興で弾いてみせる」というその感覚がとても素晴らしい方です。ピアノ弾きは、実に
多くの方が(それこそ、クラシックからジャズ、ロックまで)いらっしゃいますが、僕が日頃大変お世話になっている大先輩
からのご縁を頂戴して出会ったピアニストが菊池さんです。
それから、当夜は「世界初と思われる試み」を予定しております。何をやるか?!
実は、ドビュッシーのチェロとピアノのためのソナタ(Sonate pour violoncelle et piano)を、尺八とピアノで演奏を
します。なぜそんなことをやるのか? その本意は、当日お越しくださった方に、まずは、お伝えしたいと思います。
「世界初?」にはそんなに拘りはありません(調べようもないので)。ただ、表面的な現象としては、成功か失敗かという
聴き方もありますが、それよりも大事にしたいのは、「歴史」という時間軸の中で、「弾き手」「聴き手」「繋ぎ手」が存在
しているのですから、三者が考えて、既存しなかった「音楽のスタイル」が派生されてゆく、萌芽が認められる…といった
ことを、お集まりくださる方々に「目撃」くだされば、と思っております。
以上、たくさん書きましたが、ある種特定の「聴き方」だと、「ごった煮」に聴こえる得る可能性がゼロではないです。
それは、音楽家たちが真っ先に感じたことでもありましたが、「非共鳴の融合」という世界になったとしても、音楽家は
同じ時代に、つまり「この世」でお互いに「同居」しているのですから、楽器も同じステージにのっても良いと思います。
幸い日本語ではMusicを「音楽」と書きます。「音を楽しむ」で「音をわかる」でもなく「音を判断する」でもなく…。
現代の日本は、洋の東西を問わず、そして、歴史を飛び越えて、とても多種多様な音楽に接することができますね。
そのような、環境下にあって「何かを「新たに」編み出す」という行為こそ、この時代のアーティストに求められていること
では? と最近強く感じます。
もしかしたら、50年先の「ピアノ・トリオ」は、「ピアノとヴァイオリンとチェロ」、「ピアノとドラムとウッドベース」と同じく
「ピアノ+尺八+琵琶」が定番になっているかもしれません。中村さんや塩高さんは作曲家でもありますから。
「尺八と琵琶」という、僕たち現代の人から見れば、何ら違和感のない和楽器の取り合わせ。でも、この2つの伝統楽器
の組み合わせで、邦楽の歴史上「初めて」作曲(『エクリプス』)をしたのは1966年、武満徹さんであったことに驚く・・・
つまり、お互いの楽器は「孤立した世界」であって、決して融合、ましてや合奏などあり得ない・・・一方、動画で紹介して
いる「古伝鶴籠」は、J.Sバッハとほぼ同じ年代の作品だそうで、何と革新性に富む音楽だろう・・・と、僕は感じます。
「21世紀のスタンダードがこの日から始まる」と良いです。
ご興味とお時間ありましたら、どうぞ、お足をお運びになってください。
こんにちは。伝統的な和楽器は、日本の風土に良く合う音だとおもいます。最近、尺八も筑前琵琶も聴く機会を得ました。お若い方のようですが、なかなかテクニックを持っておられますね。
by whitered (2009-12-07 09:59)
今度は琵琶が加わっての演奏会、素晴らしい企画と主催に
対し敬意を表します!新たな音楽の幕開けとなることを祈念
しております☆
by アマデウス (2009-12-09 00:08)
「ピアノ+尺八+琵琶」の組み合わせ、とても斬新ですね♪
新しいことへの挑戦、とても素晴らしいです!
演奏会のご成功をお祈りいたします♪(^_^)
by りゅう (2009-12-09 23:32)
こんにちは whiteredさん
和楽器は 日本の風土がもたらすある程度の湿気が必要らしいです
ヴァイオリンなどの楽器とはまるで正反対ですね
秋頃 若い優秀なカルテットを聴いたのですが
同じ作品を 直前に聴いたドイツのカルテットと違って
優秀でしたが 音がとても「水ぽかった」のを覚えています
琵琶は歴史が入り組んだ楽器です 面白い真相が浮かんできます
by ヒデキヨ (2009-12-10 12:32)
こんにちは アマデウスさん
>新たな音楽の幕開けとなる
この異質であるが 可能性のありそうな組み合わせは
誰かがやらなきゃ と感じました
幕開けは 否定者と賛同者にもまれて産声をあげます
「問題提起」もありますが
何よりも 音楽が面白いか 感動を呼ぶか…
それは 古典も新作も全く同じですよね
いかに WAMが 天才だったか
いかに 仕事が早かったか
こういう企画を通して 痛感するのであります
by ヒデキヨ (2009-12-10 12:41)
こんにちは りゅうさん
ありがとうございます!
先日 ハプスブルグと皇室の秘宝に行きました
音楽はその場で再現して 空気と化して消える
美術は 形に留まり 残ってゆく
もし この異質の組み合わせに面白いと思う人が増えてゆき
そして 作品が増えてゆけば この「組み合わせ」は
形に留まり 残ってゆく と…
by ヒデキヨ (2009-12-10 12:45)
楽しいコンサートをありがとうございました。
トリオでの「たいまつ」が始まったとき、予感がして
目を閉じました。そこには、戦場がありました。
尺八・琵琶・ピアノの音楽というよりは、あっちこっちから
いろいろ聞こえてくるような、不思議な感じでした。
この組み合わせ、ぜひ、また聴きたいです。
by ひとみ (2009-12-29 00:43)