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アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ [敬愛するアーティストたち]

ABM.jpg

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ

「現代ピアニストの祖」といっても良いこの芸術家に対して、晩年、親しい人たちは頭文字から「ABM」と呼んだ。

1920年1月5日(6日)、イタリア、ブレシア近郊のオルツィオヌオーヴィで生まれる。

ABM自ら「ミケランジェリ家は、
アッシジの聖フランチェスコの末裔だ」といった


18歳で
イザイ・コンクールに参加するものの、結果は7位で終わる
(1位はエミール・ギレリス)。


翌年の
ジュネーヴ・コンクールでは優勝。
審査委員には、アルフレッド・コルトーイグナーツ・パデレフスキなど。

特にコルトーからは「リストの再来」だと賛辞を受ける。しかしこの年、世界は、第2次大戦へ突入する。

第2次世界大戦中は、空軍パイロットとして従軍する。
3度捕虜として監禁されるが、奇跡が重なり生き残った。が、

「…『私は、もっとも良く過ごすべき6年を失った』と語っていたことはほんとうだろうと思う」と
青柳いづみこさんは書く。

『ピアニストが見たピアニスト』(白水社)。優秀なABMの同業者にして優れた文筆家の推察は、意味合いが重い。

1949年、ショパン没後100年のオフィシャル・ピアニストに選ばれる。本格的な活動を再開する。

趣味は、カーレース。ABMが操縦するフェラーリに同乗した人物は「生きた心地がしなかった」と恐怖体験を語った。

自分専用のピアノと調律師を従えて、コンサートツアーに出かける。だから、しばし、NYのスタインウェイ社と衝突。

名調律師、故杵淵直知さんが「調律師でもあれだけの手つきで(鍵盤の)深さの定規を扱う人を数多くは知らない」と、

いわせるほどピアノの構造・調整面に対しても高度の知識と技術を持ち、「人間とは思えぬ感覚」が加わる。

ABMとピアノそのものについて、ABMとピアノ技術者については、豊富なエピソードが存在。いつかまた書きます。

弟子は、とても多い。マウリツィオ・ポリーニマルタ・アルゲリッチといった、現代の巨匠も一時期ABMから学んだ。

近頃名演を聴かせたクリスチャン・ツィメルマンや、もう一回り若い世代のピョートル・アンデルシェフスキといった名手

をはじめとして、多くのピアニストたち…
ビル・エヴァンスも!…が、
ABMから少なからず影響を受けています。

1995年6月12日没。昨日が命日でした。


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江州石亭

ミケランジェリはフランソワと共に私にとって子供の頃から聴き馴染んできたピアニストなもので、15歳頃に教わっていたGrande polonaise brillianteの最初のオーケストラ部の出だしは敬愛するミケランジェリが弾いているのと同じ(まさにこちらでアップされているYouTUBEの動画そのもの)にさせてとお願いしたくらい。
完璧主義者でしたから、時には気分がのらないとドタキャンも多々あったと聴いていますが・・・
いまだによく聴き返しているピアニストの一人です。
by 江州石亭 (2009-06-13 11:30) 

ピアノフォルテ

今習っている先生の大先生がミケランジェリがお勧めです、
とおっしゃっていたので
どんな演奏をされるピアニストなのかな、と興味がありました。
映像拝見できて嬉しいです。
「華麗なる大ポロネーズ」、ポロネーズのリズムを強調していて、
立体的だなあとおもいました。
こんな風に弾けたらすごいなあ~。

by ピアノフォルテ (2009-06-14 11:55) 

marilyn

おはようございます~!あまりにも無知なので、ちょっと恥ずかしくて
コメントかけませんが、すごいお方だ・・・ということは、映像からものすごく
伝わってきます。
ピアニストでいて、カーレースが趣味というところもまた魅力の一つなんでしょうね。
by marilyn (2009-06-17 09:01) 

しるくら

漣のような美しさですね。
鍵盤におろした指の 更にその先に 特別なピアノの音を引き出す何かがあるかのようです。
素敵な映像の紹介をありがとうございます。
by しるくら (2009-06-19 09:20) 

りゅう

アッシジの聖フランチェスコの末裔というところに反応してしまいました・・・(^_^;)
昨年、ジョット展を鑑賞したこともあり、
アッシジの聖フランチェスコというと、ジョットの壁画をイメージします。
絵画と音楽の結びつきは強いという話を聞いた事があるので、
お互いに影響しあっているのかな~なんて思いながら聴き入りました♪
by りゅう (2009-06-21 11:07) 

ヒデキヨ

こんばんは 江州石亭さん

アツイコメントありがとうございます

サンソン…すっごく良いフランス人ピアニストですね
あの人ほど 乗ったときの ドビュッシーが面白いのを
僕は知りません

ABMは 僕は一度だけ聴くことができました
でも 予定していた日は やはりキャンセル…
そのキャンセルの代演を辛うじて…

また書きます 笑
by ヒデキヨ (2009-06-24 19:09) 

ヒデキヨ

こんばんは ピアノフォルテさん

アツイコメントありがとうございます

大先生が…そのようにコメントされてらっしゃったんですね
嬉しいです

この時代のABMは 指はまだまだ回っていた頃ですが
ピアノの発声が オーソドックスな調整とは異なる頃で
もしかすると 万人向けではないかもしれません

機会ありましたら
ドビュッシー「映像」「子供の領分」など お聴きになって
くださいね

驚嘆の神業と言っても良いかと…
by ヒデキヨ (2009-06-24 19:17) 

ヒデキヨ

こんばんは marilynさん

コメント本当にありがとうございます

いえいえいえいえ 無知だなんて
感じたことを 書いてくださって嬉しいです

ちょっと受け狙いで「カーレース」と書きましたが
チューンナップしたクルマで レースに出ることと
完全完璧に調整したグランドピアノを操ることは
「同じことだ」とご本人は語っておりました 笑
by ヒデキヨ (2009-06-24 19:24) 

ヒデキヨ

こんばんは しるくらさん

美しい漢字を使ったコメントありがとうございます

漣 あ~ ある意味言い当てた 言葉
しるくらさんのセンスに驚きます

>盤におろした指の 更にその先に 
>特別なピアノの音を引き出す何かがあるかのようです

その通りなんです さすが よくおわかりです!
何があったのかは いずれ書きますね
by ヒデキヨ (2009-06-24 19:29) 

ヒデキヨ

こんばんは りゅうさん

素敵なコメントありがとうございます

実は 末裔…は ABMは「自称」で言ってたことです 笑
でも 血脈上の末裔ではなくて 精神性での末裔だと
言いたかったのではないかな? と 僕は思います

ABMの音楽を

「…また、これは油絵というより、フレスコ画をみるような音色の演奏であり、
パトスの安売りがない。」

と評した方がいらっしゃいます
なるほど 結びつきは強いはずです
聴き手の感じ方も含めて…
by ヒデキヨ (2009-06-24 22:38) 

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