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チエロ名手再訪~フオイヤーマン夫妻 [敬愛するアーティストたち]

フォイアーマン①.jpg

朝、ハーブティーを飲みながら新聞を読んでいると「チエロの名手再訪」という見出しに出くわした。

それにしても「チエロ」って…。
「春の楽壇を飾るチエロの名手エマヌエル・フオイヤーマン氏夫妻と伴奏者のオルガレダレグナー氏など300名の各国人を乗せたM・ジャパン号が18日午前8時30分、ホノルルから横浜港へ入港した」…ん?

いつの新聞だろう?

フォイアーマン②b.jpg

…ああ、寝ぼけているのか…

記事は続く
「フオイヤーマン氏は一昨年秋も来訪したとおりチエロのナムバー・ワン
であり夫人のエバさんとは六ケ月前ドイで結婚この旅行はまた嬉しい新婚旅行でもある」。

写真は満面の笑み。
実は図書館でコピーしてきました。昭和11年4月19日の東京朝日新聞から。笑

フォイアーマン③.jpg

このときの来日公演を聴かれたという、大阪在住で僕のクラシック音楽の大先輩K先生にお電話で詳しく伺うと、

「昔のこと過ぎて忘れてしまいました。ハハハ…」。

大田黒元雄さんの批評には「カザルスの老いた今日、
たしかに天下無類といえよう」や「あの弓の使ひ方の如きは明らかに神妙の二字に尽きる」と書き残している。

「神妙な使ひ方」をポッパーの「スピニング・ソング」で観てみましょう。

ポッパー特有のハンガリッシュな雰囲気と
ウィーン風とでもいえば良い「気品の混在」した超・名演。よくぞ残った映像。
時代を感じる特撮も面白いけど、
この神妙な技巧がいかに凄いのかを(気持ち的に)劣化せずに、撮影者は伝えようとしたのでしょう。よくわかります。



こちらはドヴォルザークの「ロンド」。何という演奏!誰もが見て叩いて音程を取りに行く箇所、ちらっと見てほとんど触れただけで一発OKの鮮やかさ!指と腕が勝手に正確にそこに行く感覚。圧倒的名人芸なのにポーカーフェイス。難しいハイドンニ長調の協奏曲(ナクソス8.110908 )も信じられぬ演奏クオリティー。一度目の前で聴きたかったな。

クラシック音楽をみなさんに。Calssical Music Cafeへようこそ。

チェロの歴史的名手エマヌエル・フォイアマン(1902~1942)について書きますが、わかっていることは、パブロ・カザルスよりも約30年後に生まれて、約30年早く亡くなっているということ。そして、現代でも通用しそうなトップクラスの技術の圧倒的完成度。つまり、ヴァイオリンのハイフェッツと同じ存在ということ…だけでしょうか?

僕にとってフォイアマンの存在はある意味謎なのです。「彼が長生きしていたらチェロの世界はどうなっていたか」。

夭逝の天才にいつも投げかけられる質問ですね。少しだけ想像はつきますが、はっきりとはわからない。

チェロの王者フォイアマンの命日は本日の5月25日。復刻の完全全集が出ても良いと思うのは僕だけでしょうか?

ちなみに全くの余談ですが明日は僕の誕生日です。笑


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コメント 22

kiyo

フォイアマン。
学生時代に観たポッパーを弾く姿が忘れられません。
本当にライヴで聴きたかったですね。
貴重な新聞でのお姿、一瞬プロコかと思いました。
by kiyo (2009-05-25 15:10) 

katsura

チェロではピエール・フルニエさんも好きです。
by katsura (2009-05-25 17:30) 

aya

懐かしい感じの映像ですね、 チェロは経験が無いので分かりませんが、
手の動きは凄いですね。 ギターはフレットがあるから、勘だけではひきませんが
まずポジションを覚えるのに 私ならどれ程かかるか・・・。
これも音楽的、音感がないと出来ませんね(>_<)

by aya (2009-05-25 17:54) 

ヒデキヨ

こんばんは Kiyoさん

コメントありがとうございます♪

本当にライヴで聴いてみたかったですよね
ここいらで 全集復刻出す必要があるかも…
ブラームスソナタ ドッペル アルペジョーネ…

そんなこというと
プロコの写真が載った新聞探しに行きそうなので
やめてください 笑い
by ヒデキヨ (2009-05-25 18:58) 

ヒデキヨ

こんばんは ayaさん

コメントありがとうございます♪

そうですよね^^
人によってはあのローテク特撮はイマイチかも 笑
それでも 鮮やかな動きは良く捉えていると思います

現代でもトップクオリティーのテクニックは凄いです
by ヒデキヨ (2009-05-25 19:06) 

ヒデキヨ

こんばんは katsuraさん

コメントありがとうございます♪

フルニエも素晴らしいアーティストですよね
大変な名手・名匠でした

僕の好きなエピソードは
コダーイ自身から 無伴奏チェロソナタの演奏を賞賛されていたこと

またいつか取り上げます


by ヒデキヨ (2009-05-25 19:25) 

coco

こんばんは♪

難しいことはよくわかりませんが、私はチェロの音色が大好きで
マイスキーの演奏会にはよく出かけます。
京都出身なので上村昇さんの演奏会に時々出かけていました。
どの楽器も好きですが、チェロやオーボエの音色はどんなに激しく
演奏されてもホッとします^^

明日お誕生日だとのこと。ちょっと早いですが...
おめでとうございま~す♪
明日からの新たな1年がまた健康で素晴らしい日々であります様に♪

by coco (2009-05-25 19:35) 

TaekoLovesParis

フォイアマン、初めて聞く名前でした。
演奏、見ましたが(聴きました)、曲芸的ですね!
2つとも、1941年の演奏とは。。
「スピニング・ソング」では、ハイフェッツの弾く「くまんばちの飛行」を思い出しました。いいものをご紹介いただいてありがとうございました。

ヒデキヨさん☆お誕生日おめでとうございます☆5月26日

by TaekoLovesParis (2009-05-25 23:27) 

ぎーこ

最近20世紀のヴァイオリニストの映像を見ました。
こうやって技術の進化によって色々な映像が残されているのって
とても嬉しく思います。
時代によって奏法も違いますし、
参考になる部分も多いんです。
カザルス、私には本の中の人物でしたが、
素晴らしい演奏家だなぁって今更なように感じています♪
by ぎーこ (2009-05-25 23:47) 

江州石亭

ヒデキヨさん、何度もご訪問いただきながら、こちらにお邪魔するのが
遅くなってしまいました。(深謝です)

弦楽器はピアノに次いで大好きな楽器群なものですから、ご紹介の
動画興味深く拝聴しました^^


by 江州石亭 (2009-05-26 00:09) 

arakin

お誕生日おめでとうございます。
ちなみに先実が家内の誕生日でして、、、関係ない話ですみません。

さすが、これらの資料はなかなか見られないものをよくぞ出していただけまして。
また、いろいろと教えてくださいませ。
by arakin (2009-05-26 00:35) 

marilyn

お誕生日おめでとうございます!
幾つになっても、お誕生日は嬉しいもんですね!
はじめて聞いたお名前で、全然くわしくないですが、チェロの音色は
大好きです。
by marilyn (2009-05-26 11:13) 

ヒデキヨ

おはようございます  cocoさん

メッセージありがとうございます 感謝します

チェロの音色が好きなのですね
マイスキーは何回か聴きましたがあたたかい感覚が良いですね
上村先生の音色 僕は好きです あの深み…なかなか聴けません

オーボエも良いですね
全盛期のシェレンベルガー
天からふりそそぐ音色 という雰囲気ですよね
by ヒデキヨ (2009-05-29 09:38) 

ヒデキヨ

おはようございます TaekoLovesParis

メッセージありがとうございます 感謝です

映像、観て頂いてありがとうございます

>2つとも、1941年の演奏とは。。

雰囲気は年代を感じますが 演奏はとてもスタイリッシュと思います
その後フォイアマンはすぐに亡くなってしまいました…
今で言えば一種の医療事故のようなものでしょうか

アーティストに命運や与えられた役割の不可思議さを感じます
by ヒデキヨ (2009-05-29 09:43) 

ヒデキヨ

おはようございます ぎーこさん

コメントありがとうございます♪

僕もカザルスについては長らく
本の中の人物 そして 歴史的録音の人物でした

しかし ある時代楽器(古楽器)の演奏家が弾くバッハに接したとき

カザルスのバッハのイントネーションに似たところが多々あったのです
確かに近代チェロの開拓者でもあるのですが
18~19世紀の「伝統的」な語法を先祖代々受け継いでいる? と
思えたとき 良さがわかってきました(スペインという「辺境」ですが)

古くて新しい
新しくて古い それがカザルスかもしれませんね^^
by ヒデキヨ (2009-05-29 09:52) 

ヒデキヨ

おはようございます 江州石亭さん

コメントありがとうございます♪

こちらこそ 返信コメントLentoより遅くなりゴメンナさい^^;

動画観て下さりありがとうございます

僕も実はピアノ大好きなのです
特に ミケランジェリ 非常に好きです

いつかアップしますので 良かったら ご意見下されば幸いです
by ヒデキヨ (2009-05-29 09:56) 

ヒデキヨ

おはようございます arakinさん

メッセージありがとうございます 感謝です^^

奥様のお誕生日おめでとうござます^^

フォイアマンは CDもバラバラで資料としてまとまっておらず…
仕方なく 来日時の新聞を見ました

それはそれで新しい発見がいっぱいありました

図書館で 「1936年の新聞を見たいと言ったら」 
最初昭和36年の資料が勘違いされて出てきたのです
くまなく読んでいると その年カザルスが来日していたのです

両名人は繋がっているなと感じました
by ヒデキヨ (2009-05-29 10:03) 

ヒデキヨ

おはようございます marilynさん

メッセージありがとうございます 感謝です^^

だんだん幾つになってきたのか
わからなくなってきました
時間が経つのが明らかに早くなっている気が…

チェロの音色が大好きなのですね
良かったです

なるべく難しいことを書かないように心がけていますので
率直な感想やコメントをお待ちしております
by ヒデキヨ (2009-05-29 10:05) 

ヒデキヨ

お茶屋さん nice! ありがとうございます!
NOBUさん nice! ありがとうございます!
Krauseさん nice! ありがとうございます!
aranjuesさん nice! ありがとうございます!
c_yuhkiさん nice! ありがとうございます!
dalandさん nice! ありがとうございます!



by ヒデキヨ (2009-05-29 10:08) 

しるくら

大変遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます♪

フオイヤーマン氏の名前に反応してしまいました…。
柔らかく確実な指と腕の動き。素晴しい発音で惚れ惚れします。
若くして亡くなったとは存じませんでした。
ネット上で『白鳥』を聴いて以来のファンなのですが、CDが見つからず寂しい思いをしていたら、ヒデキヨさんのこの記事!!
映像の紹介をありがとうございます。
全集が出てほしいと私も強く望んでいます。

オーボエのシェレンベルガーの音も実に素晴しいですね。
素晴しい音楽家の紹介を、これからもよろしくお願いします。
楽しみにしています。

by しるくら (2009-05-31 11:15) 

ヒデキヨ

こんにちは しるくらさん

メッセージありがとうございます 感謝します

音楽史という観点で カザルスとフォイアマンを位置づけたとき
僕は直感的に この二人はライバルでもなんでもなくて
「親子関係」だなと感じています
カザルスは親 フォイアマンは息子…

バッハと同様 僕らはどうしても「親」に目が行きがちですね
ここら辺でまとめておくというのも 今の人の仕事と思うのです

今日のコンサート楽しんできてください
僕は別のに行きます
by ヒデキヨ (2009-05-31 17:29) 

ヒデキヨ

りゅうさん nice! ありがとうございます♪

by ヒデキヨ (2009-06-01 08:45) 

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