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聖者カルロ・マリア・ジュリーニ [敬愛するアーティストたち]

ミケラジェリ、ジュリーニ夫妻.jpg

左からピアニストのミケランジェリそして指揮者ジュリーニご夫妻。この写真を見たとき僕は何という方だろうと思った。

もちろん今日が誕生日の
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914.5.9~2005.6.14)のことである。推定身長198センチの長身痩躯なジュリーニが、膝を折って奥様との写真に納まるという…当時ロスアンジェルス・フィルの音楽監督の重責にあって、ドイツ・グラモフォンのトップアーティストのすることだろうか…写真は、著者コード・ガーベンが撮影したプライヴェートなもの。そう!プライヴェートのヒトコマで。素敵だと思う。そして、ジュリーニは本当に奥様を愛されていた。

ジュリーニの指揮姿を初めて観たのは、ミケランジェリと共演したベートーヴェンの「皇帝」のヴィデオ。もう20年以上も前のことです。擦り切れるまで観た僕のVHSの画像は酷いものですけれど、You Tubeのこの映像は、状態が良いようです。でも、音質は最上とはいえない。だけど、とても貴重な映像資料なのでここで紹介しておきます。この演奏は名盤としてもよく知られていて、より高音質な仕上げで美しく聴けます(ユニバーサル:UCCG5022)。長い手から振り下ろされ、ウィーン交響団からもったいぶって発せられた音楽は、とても壮麗で、旋律は美しく歌われる。

オケのメンバーが、ジュリーニを信頼している様子が映像から感じられます。ちょっとした手の動きにも反応しています。そして、その信頼は楽団員だけではなくて、超・気難し屋のピアニスト、ミケランジェリからも伺えます。例えば9分51秒あたりでは、そっとミケランジェリは指揮を見て合わせています(これは普通)。そして、9分55秒あたりのジュリーニの「うんうんと頷くしぐさ」を確認してから、同じく「うんうんと頷くしぐさ」で、ミケランジェリが次のフレーズに突入しています。僕はこの瞬間が好き。若い頃から何度も「皇帝」をやってきたイタリー出身同士の間柄ということもあるのでしょう。

こちらは、名ピアニスト・ホロヴィッツとご一緒の風景。録音したばかりのモーツァルトのピアノ協奏曲第23番のプレイバックを、両マエストロがチェックしているところです。無邪気なホロヴィッツと周囲に気遣い、音楽に深い注意を払う紳士のジュリーニがとても対照的です。このジュリーニの気遣いを現場スタッフがきちんと汲み取っていれば、臨時編成のオケからでもより繊細な響きが収録できたと思います。それはそれとして、練習やリハーサルのときは、いつも白いカシミヤのカーディガンを羽織るスタイル。とても良くお似合いでお洒落。お住まいのあったミラノの風景と調和しそうですね。

♪♪♪♪♪♪ 

クラシック音楽をみなさんに。Classical Music Cafeへようこそ!

初めて「敬愛するアーティスト」に登場したのは、イタリアの名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニです。今回は、敬愛するマエストロについて書かれている数多くの文章から、特に僕の好きな2つを選んで、生誕祝いとさせて頂きます。

「…(略)指揮者カルロ・マリア・ジュリーニには、一度だけお会いして話しを伺ったことがある。そのときの彼は、ぼくがお会いした数多くの音楽家のなかでも特に印象に残ったひとのひとりとして、今もって記憶に新しい。そこで受けた彼の印象をひと言で形容するなら、彼が言葉の最良の意味における『ジェントルマン』であったということだろう。

長身痩躯の彼は、見事な仕立てあがりのスーツに身をかため、ネクタイをはじめ、身のまわりのものはすべてよく吟味されていてピタリと決っており、まさに一分の隙もない。だまって立っているだけで、周囲を圧するよな威厳をただよわせている。それでいて、物腰はたいそうやわらかで、相手の話をよくきき、自分の話しをするときはきわめて謙虚だ。

(略)ふつう、ジュリーニほどのビッグネームがあまりに謙虚に振舞うと、相手はかえって居心地が悪くなってしまうものなのだけれど、彼の場合はその稀有のお人柄の深い部分から自然ににじみ出てくる優雅さ、やさしさなどのせいか、周囲に少しも異和感を感じさせない。このような個性の持ち主が、あの悪評高き音楽界の頂点に立っているのかと、話しを伺いながらぼくは心底度肝を抜かれるおもいだった。(略)」(吉井亜彦さん執筆解説書(ソニー:SRCR8939)から)

「ウォルター・レッグは、多くの音楽家の性格的な特徴について、ゴシップ記事にでもなりそうな口調で話した。その際に、無傷の状態で話題に上ってきた唯一の人物が、カルロ・マリア・ジュリーニであった。『彼は聖者なんだよ』とレッグは言った。」(ロバート・チェスターマンの言葉)

カルロ・マリア・ジュリーニについては、フラックさんが愛情を込めて作成されたozio elevatoがとても素晴らしいです。ご興味があれば、一度ご覧になって下さい。


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ヒデキヨ

お茶屋さん

nice! ありがとうございます!

by ヒデキヨ (2009-05-11 23:54) 

daland

daland と申します。
お越し頂きありがとうございました。
とっても素敵なブログですね。
じっくりと拝見させて頂きます。
まずはご挨拶まで。今後もよろしくお願いいたします。
by daland (2009-05-12 08:28) 

marilyn

素敵なブログですね。クラシック、ちょっと敷居が高くて、敬遠して
いるんですけれど、こちらで少し聞かせていただいてみようかな。
by marilyn (2009-05-12 20:34) 

ヒデキヨ

Krauseさん
新垣繁美さん

nice! ありがとうございます!
by ヒデキヨ (2009-05-13 09:09) 

ヒデキヨ

こんにちは dalandさん

コメントありがとうございます~

まだ 始めたばかりなので
実は試行錯誤している部分もあるのですが
ゆっくりゆっくり書いてみます

こちらこそ よろしくお願いします
by ヒデキヨ (2009-05-13 09:11) 

ヒデキヨ

こんにちは  marilynさん

コメントありがとうございます~

確かに敷居が高い印象を未だに与えていますよね
ここでは なるべく 音楽をやっている「人」そのものに
焦点を当てて書いていきたいとおもいます

良かったら また感想をお寄せください!
by ヒデキヨ (2009-05-13 09:14) 

ヒデキヨ

PAPAさん

nice! ありがとうございます!
by ヒデキヨ (2009-05-13 22:20) 

りゅう

じっくり聴き入って(見入って)しまいました♪
高画質・高音質で聴きたいっ!て思っちゃいました。(^_^)
二人でチェックしているところも和やかな感じで楽しそうでした。
by りゅう (2009-05-13 22:52) 

ヒデキヨ

おはようございます  りゅうさん

コメントありがとうございます~

そうですよね 高画質・高音質で聴きたいです
「皇帝」や3番、1番のピアノ協奏曲は
かつてのVHS時代 欧州から輸入できていたのですが
DVDでちゃんと出して欲しいですネ
by ヒデキヨ (2009-05-14 07:33) 

ヒデキヨ

TaekoLovesParisさん
yorikonohaさん

nice! ありがとうございます!
by ヒデキヨ (2009-05-23 22:20) 

やまがたん

ご訪問ありがとうございます
旅行中につきパソコンからの
カキコミが出来ないためケータイからのため
挨拶と応援のみとさせていただきます☆
by やまがたん (2009-07-12 14:01) 

Falke

ジュリーニとミケランジェリの最良の時期の映像をありがとうございます。
大変興味深く拝見しました。
ジュリーニの指揮ぶり、格好いいですね。
ミケランジェリも音楽的にも人間的にも一目置く存在だからジュリーニとの信頼関係が築かれたのかな、との感想を持ちました。
by Falke (2009-08-29 11:10) 

ヒデキヨ

Falke(博士)さん コメントありがとうございます

コメント遅くなってすみません!

そうですよね 格好良いですよね
「ジュリーニは イーストウッドの兄貴なんだぜ ここだけの話し」と言ったら
10年くらい本気で信じていました(笑)

ミケランジェリは 確かにこのときはピアニストの「皇帝」でありました
しかし 最良の時ではなかったかな とは僕の意見です

いつかまた書いてみたいです
by ヒデキヨ (2009-09-10 19:30) 

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